奈良県倫理法人会
県会長 寺尾 俊一

倫理法人会は、経営者や人としての目指す姿を学ぶ会です。その例として重要な考え方は、「与える人になること」と「行動は理解に先行する」ことの二点です。

一点目の「与える人」になることは成功の基礎と考えられる重要性があります。「ギブアンドテイク」とよく言われ、人はギブする(与える)人とテイクする(得る人)がいます。日本では学校教育の「正答を得ること」に始まり、社会に出てからも「収入、やりがい、価値の得方」など得ることばかりを求める生き方しか知らない人が殆どです。

しかし、多くの偉人や成功者は際限なく「与えること」に集中しています。価値を創造し、その価値を人々に提供してこそ、金銭をはじめあらゆる対価を受け取ることができるのです。これは万人幸福の栞の83ページに書かれている二宮尊徳先生の「たらいの水の例話」の通りであります。倫理法人会においては、お役を受けるとことが「与える人」になることの一つの例だと言えるでしょう。
 二点目の、「行動は、理解に先行する」という真理は多くの人が戸惑うかもしれません。倫理法人会憲章の冒頭には「実行によって直ちに正しさが証明できる」という文言、活動指針のひとつ目には「倫理の学習と実践の場を提供し」と書かれています。

何かを閃いたとき、即行動(アウトプット)に移す。そして理解する。この順番が大切なのです。現代社会では「理解してから、行動する」人が非常に多く、私はそれを「もっともらしいこと」と表現しています。「お為ごかしにもかかわらず、もっともらしく聞こえる」からです。

先日還暦を迎えた60年の私の人生を振り返れば、大切なことのほとんどが「アウトプットありき」の連続でした。倫理法人会の活動の基本も同様であると確信しています。「やったことのない人には決してわからない」とも言えるでしょう。
 怖気づかないでください。どんなことでも最初の一歩は本当に小さなことです。勝ちっぱなしの人間が人の弱さや美しさを理解できるはずがありません。「成功したい」、「幸せになりたい」と思うならばまずは小さなことから始めましょう。そしてそれを無理なく継続していくことが肝要です。「継続は力なり」とは、まさに格言であります。忍耐強く諦めないで繰り返し、繰り返し行うこと。それによって自分の人生に輝きを増す内面が磨かれ満たされます。そうすると人は美しく変貌します。内面を磨き満たすのは、安易な生き方や華やかな生き方ではありません。どんな小さなことでも、たとえ他人の評価を得られなくとも、自分ができることを継続することで内面が磨かれ満たされるのです。「不悲不喜」―悲しみすぎず喜びすぎず―「置かれた場所で咲きなさい」という生き方を目指しましょう。

人には生まれながらにして果たさなければならない使命があります。命を使うと書いて使命です。私が今こうやって奈良県倫理法人会の会長の任を拝命しましたことは、使命だと考えております。みなさんにも必ず使命があります。「与える人」として、小さなことからコツコツと忍耐強く「行動」していく中で、必ず各々の使命が見つかることでしょう。

 最後になりましたが、「目的があって目標がある」ことを決して忘れてはいけません。目的は倫理法人会憲章にしっかりと刻まれています。普及に関して言えば数字がついて回りますが、私たちは人がより良く生きるための生活法則を学んでいます。それを少しでも多くの方にお伝えすることが地域を、日本を、そして地球全体を良くすることだと認識しています。私は会長ではありますが、役目としては皆様のプロデューサーとして、奈良県にも日本創生の旋風を巻き起こすために懸命に努めてまいりますので、共々に意気軒昂たる姿勢で前進していきましょう。