2025年5月 県会長あいさつ
新緑の色が目に眩しい季節となりました。私たちも、この美しい自然の恵みに感謝し、日々を大切に過ごしたいですね。最近は世界規模で気候の変動あり、日本においても四季の巡りに変化が見られ、秋と春が駆け抜けていくような短さになりました。また、私が子どもの頃には庭に大きな鯉のぼりを立て、空を泳ぐ鯉をよく見かけましたが、今ではあまり見かけません。住宅事情もあるでしょうが、マンションのベランダに泳いでいる鯉のぼりを見かけると今の若い人たちも季節の行事を大切にしているのだなと嬉しく思います。
ところで、我々倫理法人会では良し悪しの判断抜きに、ありのままを「これがよい」と受け止める心持ちを大切にしています。先ほどの気候の話で例えますと、多くの人が暑ければ暑いで文句を言い、寒ければ寒いで不満を言います。我々はどんなときでも「これがよい」と、つまり暑くても寒くてもそのままを受け入れます。
そういえば私が20代の頃、極寒の朝に葬儀の仕事でお寺へご挨拶に伺いました。「今朝は特に寒いですね」と言った私に対して、お寺様は「冬らしくていいですね」と返されました。私は大変感銘を受けました。ありのままに受け止め、良いところを感じることは、現在学んでいる「これがよい」という心持ちそのものでした。
さて、今月5月19日は、奈良県倫理法人会における今年度の拡大社数の締め切りです。目標は405社で、残された日数はわずかではありますが、目標達成は必ず成し遂げられる状況にあります。役員、そして会員の皆様のご尽力には感謝してもしきれないと感じています。
倫理法人会に於いて、目標達成の方法は様々形があり、会員の皆様それぞれご意見をお持ちであると存じております。目標に対して、「無理だ」や「無茶ではないか」など難しい状況を表すご意見ももちろんあります。
しかし、たとえその目標数値が無理で無茶でも、経営者である以上、一旦掲げた目標は達成しなければなりません。締め切りの近い今の時期に、今さら「無理」や「無茶」だと目標の数字自体を論じることは何の意味もありません。
今回の目標が「無理で無茶な数字」だったとしたら、とりあえず何がなんでも今年度に目標達成した上で、次年度の計画を「妥当な数字」に吟味することが大切ではないのでしょうか。
奈良県倫理法人会は、今まで期末が近づくにつれネガティブな声が大きくなっていました。しかし、今期はそのようなことは全くなく常にポジティブ、そのままラストスパートをかけています。各単会がそれぞれ自ら決めた目標を自分たちで達成していくというプラスのサイクルがうまく回っています。そして、皆で達成の喜びを分かち合っており、私としては感謝の気持が溢れています。
さて、私が奈良県倫理法人会の会長をお引き受けしてからもうすぐ3年になります。倫理法人会では、会長の任期は最長3年です。つまり私は今期の8月で任期満了になります。
ところで、全国には47都道府県がありますね。つまり都道府県会長も47人います。奈良県は会員社数が現在最下位で長年その最下位の47位でした。しかし、今月19日に405社を達成すると、なんと45位に浮上する可能性があるのです。会員の皆様の頑張りのおかげです。
話がそれましたが、順位云々は置いておき、奈良県のような小さな組織の良さについて私には考えがあります。私が県会長の打診を受けたのは入会わずか2年半の頃。このような倫理歴の浅い者が県会長という大役を任される状況になったのは、言うまでもなく奈良県が全国で一番小さい最下位の県だったからに他なりません。奈良県以外の大きな組織ではこのようなことは決してあり得ないことです。
大きな動物の尻尾になるくらいなら鶏の頭になったほうがいい―「鶏頭牛後」という言葉の通り、得られることが非常に多い、本当にありがたい3年間でした。
話は全く変わりますが、どうしても言いたいことなので批判を承知で本心を書いておきます。私は22歳で地元三重県四日市市の葬儀社に就職し、以来、葬祭業界歴は41年です。途中アルコール依存症もあって、いろいろな葬儀社を転々とした結果、どこからも雇われなくなったので、最終的には自分で葬儀社を始めました。紆余曲折ありましたが、まさか40年以上葬祭業界にいるとは夢にも思っていませんでした。
葬祭業界は業界の規模も、市場規模も小さいのです。それが私にはよかったのかもしれません。狭い世界でどこに行っても知り合いがいて心地良い。それが一因のような気がします。結果今まで続け、気がつけばありがたいことに葬祭業界の重鎮的存在の扱いを受けることもあります。
私の経験から思うに、大企業ばかり就職希望して落ち続けている人は、葬祭業界のような常に人材不足の会社に目を向けてもいいかと思います。「自己分析や適性検査で向き不向きがある」とも言いますが、私は入社時から今まで向き不向きを考えたことは一度もありません。直観で決め、仕事に自分を合わせていきました。
就職難で仕事がないと聞きますが、葬祭業界はいつでも人手不足。人材募集をしてもだれもこない。そんな業界は他にもあるはずです。ですから、仕事は選り好みしなければいくらでもあるということです。希望する仕事ではなくても、仕事に自分を合わせていくうちに道が拓けるかもしれません。
最近の会社は書類選考に面接、適性検査と採用にお金をかけています。新卒の学生さんも自己分析や適性検査対策などして、結果的に就職予備校が儲けたりしています。それはさておき、そこまで色々しても結局、仕事なんてやってみなければわからないのではないでしょうか。やる前からどの適性があるかどうか、そんなことはアテにならないと思います。
私は以前、大手の冠婚葬祭互助会で採用担当をしていました。私の採用基準は「打たれ強くて辞めにくい」。見極めるのはそこのみ。もし採用した人が1年以内でやめたら採用担当者である私の責任になります。すぐ辞めたら困るというのは今も昔も同じですが、今の会社―とりわけ大手は採用コストを必要以上にかけ、採用の条件も多すぎるのではないでしょうか。
人気がない、人材不足の業界の特徴として、給与が少ないことが挙げられます。でも、私は仕事で大切なことはお金だけだとは思いません。むしろお金で選ぶと続かないと思います。倫理において、仕事とは人を喜ばせることが目的です。働くことが喜びです。それが真の報酬なのです。そういう心持ちで就職に臨むと、より豊かな気持ちで働くことができるでしょう。
倫理法人会で「お役を受けること」は、つまり「働きは最上の喜び」であることを知る最高の訓練になります。私も県会長の3年間、そのような心持ちで務めてまいりました。年度がかわる前の今の時期、会員の皆様にも新しいお役の話が来ることでしょう。その時にはぜひ、喜んで(ここがポイントなので太字にしました。点をつけてもいいと思います)「はい!」、「イエス!」とお応えいただき、お役をうけて、自己革新に挑んで下さい。
はじめから「完璧にお役を務めなければ」と気負わず、まずは「ありのまま受け入れる」、いただいたお役に対して「これが良い」との心持ちを持つ実践からはじめていただきたくお願いします。 私はこの3年間倫理法人会活動一色で会長を務めてきましたが、9月以降は時間的余裕も生まれることでしょうから、もし次に倫理法人会以外からでも新しいお役がまわって来たら、ありのまま、まず受け入れると誓います。
今月も最後までお付き合いありがとうございました。また、この3年間、私の拙い文章をお読みいただき、時に感想まで伝えてくださり感謝の気持でいっぱいです。今月にて月次の県会長挨拶は終わりです。来月は、達成式典のご挨拶、また、7月から8月にかけて次年度の新体制に向け奈良県倫理法人会のホームページもフルリニューアルいたします。今後とも奈良県倫理法人会をよろしくお願い申し上げます。3年間、本当にありがとうございました。