2025年4月 県会長あいさつ

皆様、いよいよ新年度を迎えました。4月は、入学式や入社式など、新たな始まりを祝う式典が各地で執り行われる季節です。

式典というものは、私たちにとって非常に重要な意味を持ちます。それは、「こと」の始まりと終わりに、礼を尽くすことで、心の切り替えをきちんと行なうためです。さらに、式典で使用する用具にも心を寄せることで、私たちは日々の生活に感謝の念を抱くことができます。

倫理法人会では、「式」と「こと」を非常に重視しており、年度始めと終わりには毎年「年度はじめ式」と「達成式典」を開催し、会員一同が心を寄せ合っています。

さて、先月、私は東京紀尾井町の倫理研究所本部にて開催された、倫理経営インストラクター研修を受講しました。倫理経営インストラクターとは、倫理法人会が定めた、倫理指導並びに純粋倫理の解説を含めた講話を行うことが許された唯一の資格です。

この資格保有者は、全国約73,000社の会員のうちわずか441名と、非常に数少ない存在です。さらに、70歳未満かつ資格取得五年未満の倫理経営インストラクターを保有している法人レクチャラーに絞ると、50名未満、0.05%という、極めて稀な存在となります。 会場に集まった顔ぶれを拝見し、それぞれの倫理経験を拝聴した際、私は錚々たる方々ばかりの中に、倫理に入会してわずか6年未満の若輩者である自分が場違いなところにいるような気分になり、ひどく気後れしてしまいました。

2日間にわたり、みっちり研修を受けた率直な感想は、「倫理経営インストラクターとして、悩みが一層深まってしまった」ということです。倫理の学びとは、非常に深く奥行きがあることを再認識し、重責を担うことの大変さをヒシヒシと感じました。

いつも近畿方面の担当として大変お世話になっている方面長が、2時間の講義を担当してくださいました。いつものモーニングセミナーや役員会では易しい言葉で分かりやすく話されている方ですが、今回はそれとはまるで異なる専門性の高い講義でした。

方面長ともなると、このように、深い話をすると同時に、専門的で複雑な話を平易な言葉で誰にでも分かるように話せるようにならなければならないのだと学びました。難しいことを難しいまま話すより、難しいことを易しく話すほうが高度です。方面長の偉大さに感服するとともに、自分も講話の際は、知識をひけらかしたり難しいことだけを良しとせず、倫理に触れるのが初めての方にも伝わるように話そうと誓いました。

このような学びの場を与えられ研鑽できることに感謝するとともに、自分だけでなく、奈良県のたくさんの会員の皆様も学べるように、次の世代への道を作っていきたい。それが私の役目だと確信しています。

今回の研修前は、県会長職3年目になり残す所あと数ヶ月。引退したら気が抜けてしまうのではないかという馬鹿なことを考えていた自分が恥ずかしいです。私には、まだまだ後継育成の使命があったのです。

さて、話は変わりますが、再度「組織のリーダー」についてお伝えします。以前にもさまざまな場所で「サーバントリーダー」などを例に出しリーダー論について説明してきました。奈良県はこの時期になり、来期の執行部はほぼ確定し、引き継ぎがはじまりました。おもしろいことに、最近夢に見るのが3年前の県会長をお受けすることになったこの時期のことです。心に刻まれた出来事だったのでしょう。この3年間のことは倫理経営インストラクター研修で上京した折に、当時担当をしてくださった方面長にもご報告をしました。

私が組織のリーダーについて一番大切だと考えていることは「リーダー頼みの組織はいつか潰れる」ということです。これは以前にもカリスマリーダーに警鐘を鳴らしました。リーダーが優秀であれば組織が成長するか?と疑問に思います。リーダーがいなくなった瞬間に機能不全になる組織は、持続可能性の重要さを鑑みると全くダメです。

では本当に強い組織とは何か。それは、全員が成長できる仕組みがある組織です。仕組みを学び自社に取り入れ会社を成長させる。そのためには倫理法人会のお役を積極的に受けることが重要です。

今まで、「得方と与え方」の観点をはじめさまざまな観点から、「倫理法人会のお役を受けると良いですよ」とお伝えしてきました。お役を受けることの一番の醍醐味は、先述の仕組みを学ぶことができるということです。決してリーダーだけが輝くのではなく、全員が自らの役目を真っ当し、それぞれの光を放つことができる。それが成長できる組織です。

リーダーは向かう方向を指し示し、ナンバー2はゴールまでの道のり、設計図を作成します。そして組織の全員がその設計図に基づいて自主的にかつ自ら進む力を持つことが大切です。役割と責任を皆で分かち合い、自分が欠けては成り立たない、つまり他の誰が欠けても成り立たないのだと意識してください。機械の歯車と同じです。歯車の1つ1つが、かけがえなく尊いのです。

経営者は往々にして自らが歯車として動くことが苦手です。それをどう変化させるかは、この倫理法人会の学びで会得できます。また、組織が進化するためには全員が成長し続けるための文化が必要です。組織が停滞しないためにも、次代の人が成長するような仕組みづくりを行ない、組織を発展させましょう。

先日の倫理経営インストラクター研修では、組織のあり方や全員が学び続けられる環境づくり、そして次世代育成について再度痛感しました。純粋倫理の学びや組織運営の学びは、倫理法人会の仕組みをフル活用すれば必ず学び活かすことができます。そして最後は「自立」できた者が勝ちます。たとえリーダーがいなくても各自が自身の判断で動ける組織が真の強さを持つ組織です。決して依存せず自立してください。私が3年前に目指したことも「単会の自立自走」でした。それが叶い、自立した全員が共通目的に向かい邁進できるようになったのです。

今月は、残り僅かとなった会長任期のまとめを行なうような、洪水のような文章だったかもしれません。今期の達成は成し遂げてはいますが、まだ、達成の日を迎えたわけではありません。達成の日、5月19日に向かって、今一度組織の活性化をはかり、また来期へ向かって助走してまいりましょう。

皆様と共に、実り多き4月を過ごせることを心より願っております。

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