2024年6月 県会長あいさつ

6月を迎え梅雨入りも間近になりました。私は昔から雨降りが大好きな人間です。しかも早朝の雨音をとりわけ好んでいます。早朝の雨音が目覚めに落ち着いた気分をもたらしてくれます。
このような朝には自坊に出て様々なデスクワークを行います。すると思いのほか捗るのです。雨音にはリラックス効果と集中力を高める効果があると言われています。水滴が次々に落ちて流れる音は、鬱屈した心や心的な疲労を水で洗い流すイメージにつながり、すっきりした気持ちになるそうです。
また、雨の音のリズムは集中力アップにつながるそうです。ですから、雨の日は仕事が捗るのですね。
「晴れの日は枝が伸びる。雨の日は根が伸びる 」という実業家の福島正伸氏の含蓄のある言葉があります。倫理法人会では、この雨の日に伸びる、目に見えていない根の部分を学んでいます。ですから皆様も雨降りの日は仕事に取り組むのに最適だ、と心を切り替えて励んでいただきたく思います。


さて、奈良県倫理法人会に於いては、今月19日が今期の締め切り日です。ですからラストスパートの勢いがあり活気づいております。実はこの期末目標は、すでに年度初めの段階で確実に達成ができることを見越した数字です。私は頻繁に「初めに結果の報告書を作成し、仕事の進行とともに空欄を埋めていく。これが企画というものである。」と申しておりますが、この「空欄を埋めていく」部分の最終段階を、現在迎えています。
ここまでくると、いい気になって油断する人も出てきます。それは失敗する最も大きな要因の一つです。すごろくでもゴールの手前のコマに「振り出しに戻る」などといった大ダメージを喰うコマが必ずありますよね。それと同じです。したがって、結果を出す直前の気の緩みには重々気を付けていただきたいと思います。弛まず「晴れた日に屋根をなおす」ような地味な作業を着実に行うのみです。

上の話は各社の事業でも同様です。派手で奇をてらうような戦略・戦術をとる会社は今や時代遅れであり低迷します。こんな時代であるからこそ、堅実な組織づくりをはじめ、倫理の学びを丁寧に着実になぞることが大切なのです。
奈良県倫理法人会の今年度の方針は「組織つくり」をテーマに初心に返って取り組んできました。最終段階に於いては、今一度皆さんの知恵をお借りしながら、「後始末の実践」に取り組んでいく所存です。


さて、今月は奈良県内4番目の単位倫理法人会である奈良中央倫理法人会が開設します。開設の式典は8月4日に予定しております。開設の締め切りは6月19日。式典の準備が早いと思われるでしょうが、私共は既に今年2月より夕方から夜にかけてのセミナーを月に1回開催してまいりました。いずれの会も多数の皆様にご参加いただき、大盛況のうちに終えることができています。そして準備委員会の皆さんにもご尽力いただいておりますし、周囲の皆様のご協力も十二分にありますので、こちらもすでに結果が見えているのです。締め切り翌日の6月20日からは毎週木曜日にプレモーニングセミナーを開催することも決定しており、ありがたいことに私は第一回の講話をさせていただきます。
ご参加いただく皆様に、一つでも聞いてよかったと思っていただけるように、また、お持ち帰りいただけるものがあるようにとの思いで、講話の内容を検討しています。6月20日は朝5時半に奈良ロイヤルホテルにぜひお越しいただき、モーニングセミナーにご参加いただきたくお願い申し上げます。


また、今月は次年度の準備にも取り掛かる時期です。6月6日、7日に熱海で倫理法人会の次年度の方針説明会があります。この方針を受けて奈良県倫理法人会の次年度の方針を作成します。また、それとは別に奈良県独自の取り組みもあります。次年度は3か年計画の最終段階である、「内容つくり」の年です。既に様々な方にお手伝いいただき、ベータ版(途中段階・試用)を走らせていることもあります。熱海で発表される方針と、このことを合わせて、今月中には次年度の奈良県倫理法人会の方針を決定させていただきます。

そして、さらに肝心なことに、次年度の役職者の登録がございます。皆様に次の1年間のお手伝いをいただくようにお願いをさせていただきます。
常に申し上げておりますが、「せっかく倫理法人会で学んでいるのであればお役を受けなければ損」だと私は確信しています。以前にも、得方と与え方の話をしましたが、この世で成功している人のほぼ全ての人が「与えている人」なのです。具体的には、物ではなく価値の提供です。価値を提供し、人に喜んでもらって対価を得ているのです。人は誰かに何かを貰った時、その人にお礼をしなければ申し訳ないと思います。これを返報性の法則といいます。そしてあげた側は相手にお礼を期待することが少なからずあります。その結果、相手にしつこく「お返し」を迫り良くない結果を招きます。例えば、体験無料のジムで体験後にしつこく営業電話をしてクレームや悪評がたつなどです。
私たちが学ぶ得方と与え方の考え方に基づくと、純粋に喜んでほしいという気持ちで、与えて、与えて、とにかく与え続けることが大切なのです。エンドレスでギブしていると、不思議なことに回り回ってやがて自分に返ってくるのです。
大ヒットした映画「ペイフォワード」のように、自分が受けた善意を別の誰かへ送り、次の人、その次の人もそうすることで慈愛の循環が起こることに似ています。万人幸福の栞では二宮尊徳先生のたらいの水の例話があります。
「欲心を起こして水を自分のほうにかき寄せると、向こうに逃げる。

人のためにと向こうに押しやれば、わが方にかえる。物質も、人の幸福もまた同じことである。」
ですから、私たちは常に与える側でいるべきなのです。

しかし、それを実践するのは簡単なことではありません。残念ながら我々の多くは学校教育で得方しか学んでこなかったからです。受け身の学校教育の延長線上には、現在受け身で済ませてきたがために行き詰っている様々な職種があります。雇われと言う感覚もそうです。我々は雇われではなく経営者です。雇われ側とは全く反対の立場の人間こそ、徹底的に与え方を学び実践すべきなのです。
倫理法人会でお役を務めることは、与え方を身に着ける最も優れた方法です。ぜひ、頼まれたお役を素直に受けてください。1年後、いえ、1年経たずに与え方を習得し、ご自身の人間的成長だけでなく事業にも良い影響が出てきます。
残念なことに、与え方を知らず、サービスを受け取る側にいるうちはいつまでも何につけてもお金を払い時間を費やし続けなくてはいけません。それは勿体ないことです。
週1回の講話者の良い話を聞きに来て感動したり、行動に移す決意をしたりしても、翌日には忘れてしまうのは残念なことです。しかし、このような人が多い故、実践を始めた人は成長することができるのです。一歩踏み出て快くお役につく利点は、組織つくりを現場でみっちり学び、事業に応用できる機会を得られることです。
特に中小企業の経営者の方にはお役を受けることで中小企業の経営者にありがちな事業にとって悪影響となる思考を変えることができます。全て自分の思い通りにする、いつまでも社長気分でいる、わがままな性格などなど。
そして倫理法人会のお役は有期ですので、「ずっと自分が引っ張っていかなければならない」という考えを少しずつ軌道修正し、周囲と協働することで、周囲に合わせること、お互い協力しあうこと、他人に共感し話をしっかり聴くこと(傾聴)、妥協することなど、自分も他人も大切にするアサーティブなコミュニケーションを学ぶことができます。そして広い視野を持ち、俯瞰的に物事を見つめることができるようになります。今後のキーとなる「横社会」に順応するための大切な要素がたくさん詰まっています。

倫理法人会会員の皆様には近々、倫理法人会の県会長・単会長からお役のお願いの電話が鳴るでしょう。その際には間髪入れずに「はい、イエス、喜んで」の心で役を受けて下さい。
戸惑う方が殆どでしょうが、かくいう私もわずか5年弱前には朝礼の挨拶実習とモーニングセミナーの歌を歌いに来ていただけでした。「さあ今日は水曜日だから歌を歌いに行くぞ」と気合を入れてモーニングセミナーに参加していたのが昨日のように蘇ってきます。そんな私が全てにおいて「はい、イエス、喜んで」の精神でいただけで、今では奈良県倫理法人会会長という重責を担わせていただき、且つ皆様のご協力のもとで日々成長させていただいております。お役を受けて本当に良かったと心から思える自分がいるのです。
皆様にもこの経験をしていただきたくお願いしております。重ね重ね、お役をお受け下さるようお願い申し上げます。


今年も今月で半年が過ぎますが、残り半分悔いの無いよう精一杯頑張りましょう。これから梅雨冷えの肌寒い日もありますが、くれぐれもお体を大切にしてください。
そして、雨の日は仕事がお休みとか予定を変更するとかの業種の方もお見えでしょう。雨の日の朝には根の部分、目に見えない部分、心の部分を一緒に学びたいので、ぜひお近くの倫理法人会のモーニングセミナーにお運びください。

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