2024年2月 県会長あいさつ

極寒の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

1年で最も寒い季節ではありますが、皆様方におかれましては年始に立てた目標に向かって倫理の活動に励んでいらっしゃることと存じます。その中で悩みや苦しみ迷い、疑いの心も生じることかと思われます。こういった場合、一番悪い方法は「誰にも相談しない」ということです。ですから、皆様方には倫理の教えを信じでいただき些細なことでも頼ってほしい、相談していただきたくお願い申し上げます。

さて、去る1月21日の奈良県倫理法人会設立25周年式典に於いてはおかげさまで、総勢140名近くの方々にご参加いただき、真心のお祝いを賜りました。また、無事故で会を終えることができ、心から感謝申し上げます。
私の中で、この25周年記念の式典は、会長任期のうち、一番大きな行事だと位置づけて参りました。それが大成功し、ホッとすると同時に支えてくださった皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。
先人たちから絶え間ない想いと努力で受け継がれてきたこのタスキを、25年という節目からまた新たなるスタートの思いで、次の10年、20年、更に30年・40年・50年と未来へ、未来へと引き継いでいく決意です。これは私一人ではできることではありません。皆さん、そして皆さんが育てていく後継の方々と成し遂げるものであります。

さて、ここで中間目標にふれたいと思います。1月19日に中間目標の締切を受け、達成できた単会は本当におめでとうございます。本当に素晴らしい活動をされたと思います。

また、達成できなかった単会には「これは期末に向けて仕切り直しのチャンス」である、と前向きに受け止めるよう激励いたしました。改善策を共に検討し、期末達成に向けて走り始めています。

結果は、ただ受けているだけでは、プラスマイナスゼロどころかマイナスです。ピンチのときに何も手を施さないということは単に問題を先送りしているだけ、沈みゆく泥舟に乗っているようなものです。

以前にもPDCAサイクルを回し、特にC(チェック)の部分は、ともすると痛みを伴うことがあるかもしれませんが、ここが一番のポイントですから、力を入れて取り組んでいただきますようお願い申し上げました。 

業務に落とし込んでお話しますと、例えば、ミスが起こった時にミスをした個人を責めるのではなく、ミスを招いた現行の仕組みを見直すことが再発防止の上では一番重要です。

当然ミスをした個人は十分に反省していることですし、仕組みの見直しにより自分自身の中で次からはこうしようと気をつけるはずです。

今年は新年早々羽田空港で飛行機事故が起こりました、ここで注目したいのが、犯人探しよりも事故調査委員会が次の事故を防ぐための分析をしているということです。 

事故調査委員会では、ひとつの小さな事故においても何年もかけて仕組みを見直しています。それが再発防止の一番の方法だからです。特に中小零細企業におけるヒューマンエラー対策に関しては、責任追及型ではなく、原因追及型への変革が必要です。管理者は職場全体の課題と認識しスタッフ全員で検討していかなければならないでしょう。

さて、今期の奈良県倫理法会において、中心となる取り組み、方向性は「形作り」=「仕組みづくり」です。組織論に基づき、みんなで一緒に「仕組みづくり」を学び実践をしていく予定です。
まず、年度始め式ではピラミッド型組織からティール組織へ、といった、組織のあり方の変容について話をしました。そして、その中でのリーダーのあり方にふさわしい型は、カリスマ型リーダーからサーバント型リーダーへ移行しているともご説明いたしました。

今回は「仕組み化」について徹底的にお話をします。我々中小企業の経営者は、概ね我儘で傲慢な人が多いのではないでしょうか。さらに、その人の「替え」がきかないケースがほとんどです。皆様方の会社組織において「自分がいなければ会社は回らない」、事業承継が大問題、という状況になっていませんか?

これは「オンリーワンの罠」に嵌っている状態です。

組織の中で「あなたが(自分が)いないと困る」という状態であると思い思われることは、ある種、麻薬みたいなもので、その言葉を聞くとついつい心地よく感じてしまいます。心当たりのある人はこの中にも多くいると思います。

しかし、これこそが、会社組織が健全に組織化できていない一番根っこの部分なのです。会社組織において「替えの利かない人」をつくってしまっている場合には、大きな壁にぶつかります。組織化ができていない組織は一見幹の太い木のように強く見えても、根は脆いのです。ですから、何かあればすぐに倒れてしまいます。しかし柳のような木であっても仕組化という基盤ができていれば靭やかで本来の意味で強い組織なのです。先ほどとは反対に「替え」のきく人を作る必要があるのです。替えのきかない人しかいなければ、その人がいなくなれば組織はたちまち困ります。替えのきく人とは、会社が何を自分に求めているか理解し、かつ利益をあげる組織のなかにカチッとハマり、着実に貢献していける人々のことです。

このように、仕組み化、組織化し事業を健全な方向へ回すということは、端的に言うと、経営者はその会社のヒーローではなく、他のスタッフ同様、「歯車の1つ」なのだ、と覚悟することです。歯車の1つと言われると、存在価値がないように想われるかもしれませんが、歯車1つがければ、組み込まれている機械は動きません。組織がどのように回っているのかを知らない人は「代わりはいくらでもいる」といいますが、ヒーローと思っている自分と、歯車と思っている自分では、経営者としての心構えが全く異なります。「仕組化をするためには、まず、わがままな経営者自身が『組織の歯車となる覚悟』が必要」だと重ねて主張申し上げます。

さて、アメリカの起業家であり実業家でもあるスティーブ・ジョブズをはじめ、日本のビジネス界に影響を与えた人物はたくさんいます。彼らはたしかに素晴らしい。しかし、本当のところを言いますと、彼らよりも彼らのアイディアを実現させた組織のほうが、もっともっとすごいのです。

組織論や、歯車の話は華やかさがないから、なかなか表には出てきませんが、ジョブズと同じくらい画期的な話なのです。

ここまで話をしても、会社の歯車だと言われると、「嫌だ」「あり得ない」と、受け入れることができない経営者は五万といるでしょう。そういう人は「世の中は自分中心で動いている」と信じたくてしかたがない。残念なことに「世の中は自分中心では動いていない」ということを受け入れられず、生きた化石になっていくのです。

成長は、自らが歯車になることで組織にもたらされる力に気づき、少しずつでも、歯車となることを受け入れたところから始まります。どんな組織に所属しても自分自身がその組織の中で一部の組み込まれた歯車となり、その中で組織に必要とされているスキルを磨く。そして替えのきく人材になる。そういう働き方ができる人はどこに行っても活躍することができます。

我々倫理法人会で、ある種わがままな経営者が学んでいるのは実はこのようなところが多いと思います。特に倫理法人会の役職なんて歯車そのものです。組み込まれた歯車としてただひたすらお役に徹する練習をする。心持ちを学ぶ。そういうことが倫理法人会の歯車として大切なことです。私自身も「奈良県倫理法人会9代目会長」という歯車として日々の活動をさせていただいていることは言うまでもありません。

最後に、アニメやドラマで「正義感のある個人VS悪の組織」という設定が多く見られます。たしかに、子ども向けのフィクションとしては、ワクワクするものでしょう。たくさんの大人もハマった銀行系のドラマもありました。みんなそんな話は画面の中だけだとわかっています。でも実際にはできないから夢中になって見しまう。それが悪いことだとはいいません。倫理法人会においては、現実をきちんと直視し、組織の中で自己実現をしていくことを皆で学んで行くことが非常に大切です。

悲しいかな、    

「自分がいないと回ってほしくない」

「自分がいなくなったあとは失敗すればいい」

「自分無しでやれるものならやってみろ」

こういう言葉で感情をむき出しにする人がまだまだ多くいます。

真の経営者は、全く逆です。

「私がいなくなってもうまく行ってほしい」

「死んだあとも事業が続いて行ってほしい」

「未来永劫残って欲しい」

というように自分亡き未来にまでも目を向けた選択をする経営者なのです。

今日を期に、自分のワガママから来るオンリーワン的な発想、組織から脱却し、皆様の会社が素晴らしい組織になるように共に勉強して参りましょう。

この季節はいつも冷えた空気の中、燃える心でモーニングセミナーはじめ諸行事にご参加いただきましてありがとうございます。外は冷えておりますのでコート等羽織って暖かくして外に出てくださいますようお願い申し上げます。

寒い時期もあとわずかです。お風邪等を召されませんようご自愛ください。

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