2023年12月 県会長あいさつ

カレンダーもいよいよ最後の一枚を残すのみ。黄金色に光輝く、銀杏の葉を見上げながら、この一年を振り返っています。こうやって一年、また一年が過ぎ、歳を重ねていくのだなぁと「年年歳歳花同じ、歳歳年年人同じからず」と実感させられる季節です。また、インフルエンザなど体調を崩しやすい季節でもありますが皆様方は十分に用心されていることと存じます。

さて、倫理法人会におきましては、私ども会員は「倫理法人会憲章」を常に意識して活動しています。この憲章は平成5年11月に制定されたもので、すでに制定から30年の時が経っています。この憲章の中には「活動指針」があり、その第一番には「倫理の学習と実践の場を提供し、よりよい生活習慣と豊かな人間性をそなえたリーダーを養成する」とあります。

古今東西、人々が指導者やリーダーについて論じる際には、千差万別、多種多様な視点から様々な事柄が語られてきました。現在もリーダーシップに関する書籍やセミナーが多量にあります。私は近頃、人はなぜリーダーシップというものを希求するのか、その内実はどのようなものなのかを考えていました。そこで今回は、現代の日本社会に必要な「物事の捉え方」、そして私の考える「今の時代、そして、これからのリーダーシップ」についてお話しいたします。

ピンチはチャンスとは言うものの、残念ながらこれからの日本社会は従来と異なり右肩下がりの一方です。毎回何度も私が言うので皆様は耳にタコができているかもしれませんが、大切なことなので何度も言います。どうあがいても右肩上がりだった「あの頃」は来ないのです。ですから、右肩上がりの日本社会のあり方から、右肩下がりのあり方に、考えを正反対にシフトすることが求められています。

例えば、キーワードを伝えるならば、「いつでも・どこでも・誰でも」の時代は終わって正反対の「今だけ・ここだけ・あなただけ」という、個や、かけがえのなさに価値があるのです。

近代の考え方は、①すべては論理によって明らかにできる➁全体は部分によって規定されるとし、③何事も定量化できて初めて意味を持つとしました。そこから産業革命の物的基盤がもたらされました。そうして350年ほど続いた近代の物質―モノ中心の時代は、今や精神―心が中心の時代へと転換しており、日本だけでなく、地球規模で従来の考え方では解決できない様々な問題に直面しています。

現在、日本社会が目の当たりにしているもの、それはすべて複雑系であり、論理のみによってそれらの問題を扱うことはできません。部分最適の和をもって全体最適とすることもできません。致命的なことに重要な事柄は定量化できないものの中にあります。この複雑系―現代の日本社会では知覚的な認識が不可欠です。全てを精神、命あるものとして見る世界観が必要なのです。超高齢社会、少子化、組織社会の成熟、グローバル経済の展開、地球環境問題の深刻化、教育ある人間モデルなど、すべてが形態的であり論理だけでは到底解決できるものではありません。

それに伴い、組織の形態も今年度の年度始め式の県会長挨拶で話したようにトップダウンの組織からティール組織への変化が必要とされる中で、今後は支援型リーダーを必要とする場面が多くあるでしょう。

ご存知の通り、戦後の復興から高度成長期、バブル期を支えてきたのは、カリスマ型リーダーによる支配的リーダーシップです。このリーダーには強いカリスマ性があり、類まれなる才能と並外れた行動力、そして発想力や発信力で企業や組織を力強く牽引していくリーダーシップを持っています

しかし、現在このカリスマ型リーダーシップは往々にして時代にそぐわなくなってきました。これからの時代は「支援型リーダーシップ」と言われています。アメリカのロバート・K・グリーンリーフが「サーバント型リーダーシップ」として提唱し、日本では「支援型リーダーシップ」と呼ばれることもあります。支援型リーダーシップは、まず部下のために動き、その後相手を導くという奉仕の精神に基づいています。支援型リーダーシップを推進している日本サーバント・リーダーシップ協会では次の10項目の要素を挙げています。

一、傾聴

最も基本的な要素です。メンバーの意見に耳を傾け、主体性と本心を引き出します。

二、共感

相手の立場に立って物事を考え、気持ちを理解しようと心がけます。

三、癒し

相手の心身に配慮し、心の傷を癒して、相手がもともと持っている力を回復させます。チームに欠けている問題がある場合は各メンバーの強みを活かして補えるようにします。

四、気付き

物事の本質を見ます。自分自身とチームにアンテナを張り、フィードバックして相手にも気付きを与えます。

五、説得

権限や権力で服従させるのではなく、相手が納得し、相手の同意を得ながら話を進めます

六、概念化

業務目標を超えた大きなビジョンを明確に提示しメンバーを鼓舞します。

七、先見力、予見力

現状を俯瞰し、過去の経験とも照合しながら、未来に起こりうる出来事や問題を予測して対策を打ちます。

八、執事

相手より一歩引いた場所から、メンバーの利益に貢献します。

九、人の成長に関わる

メンバーの成長に関心を持つことで一人ひとりの可能性や価値に気付き、それぞれの成長へと積極的に関わります。

十、コミュニティ作り

メンバーに対する愛情と癒しを大切にし、それぞれが大きく成長できる協力的なコミュニティを作ります。

以上が、支援型リーダーシップの要素です。

支援型リーダーシップに注目が集まるや否や「支援型リーダーシップは万能だ」「これからのリーダーは支援型リーダーであるべきだ」と飛びつく人が大勢います、その多くは支援型のやり方を誤解し、組織の統一性が乱れたり、リーダーの仕事が激増したり

「コミュ障」と称されるメンバーが離れて行ったりするデメリットを招きます。儲かる話だと闇雲に飛びつくのではなく、皆様も、支援型リーダーとしてリーダーシップの在り方、スキルを学び正しくリーダーシップを発揮していただきたいと願っています。

ここまで話すと、支配型はダメで、支援型のみが良いと考える人がほとんどだと思いますが、「支援型リーダーシップと支配型リーダーシップのどちらが優れているか?」という議論は意味がありません。状況や対象などはもちろん、それぞれに持ち味があります。つまりは、支援型を中心に、様々なリーダーシップの在り方を把握して、臨機応変に組織に生かす「シチュエーショナルリーダーシップ」の考え方も頭の片隅に残しておいてください。

では、話を戻しまして、先程の倫理法人会憲章に書かれているリーダーの姿とは、「より良い生活習慣と豊かな人間性をそなえた」と書かれていています。どこにもグイグイ引っ張っていく等といった、カリスマ性リーダーの支配的リーダーシップにあたる文言はないのです。先も申し上げましたが、この憲章は今から30年前にできています。すでに、その時に倫理法人会は支配型リーダーシップではなく、支援的リーダーシップを提唱していたのです。先見の明がある、人間主義の考えだと思います。

今回は、も?少し学校のお勉強のような話を挟んでしまいましたが、物事を主張するときの裏付けとして必要なのでご容赦願いたくお願い申し上げます。このように、歴史に学び、未来を見据えて現在を学ぶ。自分の組織・事業に確固たる土台を築き研鑽できる倫理法人会で共にリーダーとしての在り方を学んで参りましょう。そして自分の事業のことだけではなく、地域社会の発展、日本創生、地球市民として、貢献する、倫理根本の貴い人生を歩みましょう。

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