令和6年度 年度はじめ式会長挨拶 原文

9月に入りましてもなお厳しい残暑が続いておりますが、皆様方におかれましてはお変わりなく命がけの経営で事業に邁進していらっしゃることと存じます。
本日は大変多くの皆様にお集まりいただき、年度はじめ式を開催できましたこと、心より感謝申し上げます。
また昨年度、令和5年度におきましては、奈良県倫理法人会の目標達成において、各単会長の皆様、単会役員の皆様、そして会員の皆様の多大なるご尽力を賜りまして、見事に達成でき、感謝に堪えません。誠にありがとうございました。
さて、今年度、令和6年度におきまして、奈良県倫理法人会の方向性は「形つくりの年度」でございます。これは昨年度が「人つくり」と題して、目標数字の達成だけでなく、人材育成にも注力をいたしましたところ、大変多くの、そして素晴らしい仲間ができたことに基づいています。
「形つくり」は具体的に申し上げますと、「組織づくり」です。
「形づくり、組織づくりとは何か?」と、一から皆様と共に学び合い、進めて参りたいと考えています。
今後の組織創りの在り方について、一つ一つ具体案を出し、そして実行と検証を行って参りましょう。
組織の在り方について考える際、初めに知っておくべきことがあります。それは、倫理法人会を始めとする多くの任意団体の組織形態が、今後日本の組織形態の中心になると考えられている「ティール組織」と極めて類似性が高いということです。
「ティール組織」とは、2014年フレデリック・ラルー氏の著書の中で紹介された組織の在り方です。組織の進化は、下位から述べますと、圧倒的な支配者がトップに立つ「レッド」、トップダウンの階層的構造を持つ「アンバー」、目標達成を第一とする合理的な「オレンジ」、メンバーが主体的に行動できる「グリーン」、そして、個人が意思決定できるフラットな「ディール」となり、「ティール」組織形成における進化の最上級にあります。
ちなみに「ティール」という言葉はなじみのない方がほとんどだと思いますが、これは「青緑」を意味します。
戦後の復興期から高度成長の時代を経てバブル期に日本を支えてきたいわゆるピラミッド型組織はとうの昔に崩壊しているのです。
現代の日本人には到底受け入れることのできない化石のような価値観と考えられます。 占星術的に言うと200年続いてきた「土の時代」は、お金、物質、地位、など「目に見える形で豊かになること」を望む人が多い時代でした。しかし2023年には完全に「風の時代」にシフトしました。風の時代は、自由、平等、柔軟性、情報、知性、精神性といった、風のように目に見えないものの価値が高まる時代です。当然、組織形態もティール組織へと変わっていく流れなのです。
組織形態について今ここで詳しく解説すると、とても長くなりますので、詳細は今後の県役員会をはじめ、私の講話、その他諸々の機会に説明をして参りますので、多くの皆様も一緒に学んで下さったら嬉しく思います。
少しだけ話をさせていただきますと、日本の歴史において認識されている「ティール組織」は江戸末期に坂本龍馬らが設立した「亀山社中」だと考えられています。諸説では人類は時代を遡った弥生時代から農耕民族として「ティール組織」を基盤として生活していたとも言われています。
これからの時代は「ティール組織」をいち早く自社に導入できた組織が、今後、日本だけでなく世界、そして地球規模で考えれば人類全体の中で生き残ることができる組織に必ずなることでしょう。
「ティール組織」において非常に重要なポイントは、社内の人間関係の在り方や取引業者との関係性です。なぜなら、従業員や取引業者などの内部顧客と言われる身近な人々が一番大切な顧客であるからです。倫理において「人は鏡の実践」と言われるように、普段から慣れ親しんだ人々との関わりを日頃から常に良好に整えていくことが、倫理の学習と実践にあたります。
また、1990年代から、災害に関して、自助、公助、共助という言葉が頻繁に使われるようになったことは周知のことと存じますが、「ティール組織」においては、自己責任意識を持って自助努力をする人材や、仲間を助ける共助に重きをおきます。実は、自助、公助、共助という考えは今に始まったことではなく、江戸時代まで遡ります。現在の山形、秋田周辺の出羽国米沢藩の藩主である上杉鷹山が「三助の実践」として自助、互助、扶助の考えで財政破綻していた当時の藩をこの「三助の実践」に基づいて、奇跡的に立て直したそうです。また、先に例を出した坂本龍馬の「亀山社中」は、自己責任の精神と自身の役割を認識し、セルフマネジメント(自主経営)しながら、共通の目的を持った仲間たちと共に助け合いながら運営されていた組織形態でした。まさに「ティール組織」であります。この組織形態を令和版にヴァージョンアップし、私たちが生きているこの現代社会で用いることが、今年度の倫理研究所が「世直しの精神を呼び戻す」と表している行動基準であり、具体的な実践目標であります。
さて、今年度の一番大きな行事は1月21日(日曜日)に行われる奈良県倫理法人会設立25周年式典です。奈良県倫理法人会は歴代の方々から繋いでいただいたタスキをしっかりと引継ぎ、四半世紀を迎えることができました。
多くの方々から受け継いできたこの結晶を、更に磨き上げ、次の世代の方々にお渡しすることが現在役職を預かっている私達の使命であります。
私は第9代会長をお引き受けしている今この時に、しかも最長3年の期間の内で1年半が経過した折り返し地点でこの式典を開催できることを光栄に思います。
家庭においてはご先祖様から頂いたこの命を子や孫に引き継ぎ、地球規模においてはこの美しい地球を次世代に残していくことが今の時代を生きる私達の大きな使命です。
この25周年、四半世紀という重要な節目の折に、さらなる飛躍を目指して皆様と大いに未来を語り合うことを楽しみにしています。多くの方々のご参加をお待ちしておりますので、皆様是非お時間を作っていただいて晴れやかな気持ちでお来しいただきたいと願っています。
更に申し上げますと、今年度の大きな行事としては、奈良市の分封です 。具体的な日程を申し上げますと、今日の年度はじめ式で分封委員長はじめ分封委員を任命し、奈良市の中で多くの作業及び普及を進めていただきます。
そして令和6年6月19日に開設の申請を致します。その後、プレモーニングセミナー等を開催し、8月4日には開設式典、8月8日には第一回のモーニングセミナーを開催する運びです。
新単会の名称は「奈良中央倫理法人会」です。開催曜日は木曜日、開催場所は奈良市倫理法人会と同じく奈良ロイヤルホテルに決定しております。気合は十二分に入っており、すでに開設式典だけではなく、令和6年12月までのモーニングセミナー会場も予約済みでございます。
この分封に関してのエピソードを少しお話します。ちょうど昨年の今頃、年度はじめ式を開催した頃、私の頭の片隅には分封をすることなど、毛頭ありませんでした。しかし昨年11月の全国7万社大会に参加された奈良市の木村会長が「どうしても分封をしたい」と声明を発表されました。そして徐々に奈良市倫理法人会内で機運が高まり、ついにこの計画を実現するあと一歩のところまで持ってくることができました。
奈良県としても全力でバックアップし、分封の準備を行っています。私は「役職を担っていただける人材が増えたから」分封に至ったのだと強く思っています。決して単会人数が増えたからという安直な話ではありません。この考えを基盤とし、奈良市倫理法人会、分封準備委員会においては昨年進めてまいりました「ひとつくり」を更に強化し、「かたちつくり」と並行して進めてまいります。
ところで、任意団体の組織創りの要と言えばやはり「事務局体制の強化」が肝要です。私も全国各地の数多くの団体からお声をかけていただき講演等の機会をいただいておりますが、その中で強く実感したことは、事務局体制という柱が強く、かつ正常に機能している団体は何においても強いということです。
また、過去の職場におきましては三重県議会事務局と様々な事案を進めていた経験があり、その事務局の在り方をしっかりと観察していました。事務局がしっかりしていれば順調に物事は進みますが、逆に事務局がしっかりしていなければどんな些細なことでも前向きには進んでいかないのだということを学びました。
事務局体制の件に関しては、私が幹事長を拝命した2年前から実は独自に取り組んでまいりました。例えば、自分からは法人局や方面長、研究員の方々へ直接連絡することを避け、必ず事務局を通して連絡をしていただくと決め、その通りに動いていただいていました。
この目的は、私が行っていること、携わっていることの全てを事務局に把握してもらうことでした。このように、今後も事務局の機能、体制強化をますます重要視し、組織創りに必要不可欠な取り組みとして位置付けて まいります。
そこで皆様にお願いがございます。それは事務局のメンバーの扱いを今一度見直していただきたいのです。皆様は「事務局員」の方々を、ご自身の会社にいらっしゃる「事務員さん」と同じだと勘違いしてはいませんでしょうか。事務局員の方々は「事務員さん」ではなく、私たちの組織体制の柱であります。この場を借りて、事務局員の方々を「事務員さん扱い」することを改めていただきたくお願い申し上げます。
この度、事務局員の方々の業務が捗るように事務局内の机等のレイアウトを大きく変更いたしました。また、今後は事務局員の皆様の作業効率を考え各種書類の書式等も変更や統一する可能性が濃厚です。何卒ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします 。この強化は多角的な構想を練っておりますので、各単会の皆様の活動を事務局が今まで以上にバックアップできることと存じます。
話は変わりまして、各委員会におきましては、モーニングセミナー委員会を薮内委員長と吉田副委員長を中心に、更なるモーニングセミナー活性化を実現するために、研修会等の企画を準備しております。奈良県倫理法人会の活動の要は、何をおいてもモーニングセミナーの1点です。これは永遠不変の鉄則です。モーニングセミナー会場を文字通り神聖化するための取り組みを本年度も引き続き行ってまいります。
朝礼委員会は谷井委員長そして下田副委員長のもと、活力朝礼の導入企業の増加に向けた取り組みをしていただきます。そして、本年度の倫理経営講演会は全ての単会において、B型の朝礼実演を行うかたちの倫理経営講演会にいたします。
また、今年度は研修委員会並びに女性委員会を再設置し、研修委員長は加䦰さん、研修副委員長は品川さん、女性委員長は姫嶋さん、女性副委員長は新吉さんにお願いしております。主に研修委員と女性委員の委員会で新会員向けの説明会や行事を担当していただきます。大役をお任せすることになりますが、私も全力でサポートいたしますので遠慮なくご相談ください。 新会員のフォローは、昨年度に実施する予定で活動計画に挙げていたにも関わらず、残念ながら実施に至らなかった事項です、今一度体制を変えて今年度内の実施を予定しております。
さて、ここで、お待ちかねの今年度奈良県倫理法人会のスローガンを発表いたします。「世直しの精神を以て奈良県を創造的に再生する」――これが令和6年度のスローガンです。少し理屈っぽいので、暗記していただく必要はありませんのでご安心ください。私の感覚的な所感ではありますが、現代の日本は以前と比べて何かが違います。歯車が狂ったような違和感を覚えます。もちろん、様々な要素が絡み合って今の日本が出来上がっているのですが、今一度少子化・高齢化が進む日本の行く末を案じ、自分自身の老後の懸念事項だけに止まらず、未来を担う若者たちのために自分たちが何をすべきか、公共の利益を具体的に考え行動していく時が到来しています。
最後になりましたが、数字に関して触れておきます。経営者の集まりである以上、数字が必達であることは言うまでもありません。
しかし、数字という結果よりも、その数字に向かって進むプロセスが非常に重要なのです。私事で恐縮ですが、「結果だけを見ていては、運頼みになる」というのが私自身の会社経営の失敗から学んだ教訓であります。それは、私だけでなく、皆様にも当てはまる「自明の理」だと考えていますので、このことは皆様方の事業においても重要に考えていただきたくお願い申し上げます。
さて、ここで、年度の奈良県倫理法人会の目標を発表いたします。まず、中間目標は1月19日に288社達成、そして期末目標は6月19日に325社達成です。 大言壮語と思われるかもしれませんが、私の中では既にこの数字は達成しています。どういうことか、具体的に申しますと、私は6月に熱海で開催された法人局の方針説明会を受け、この約3ヶ月間はいつも以上にがむしゃらに動いてまいりました。その中で先に述べた目標についての「達成」が確実に見えました。あとは活動計画に基づいて前向きに「やるぞ」という心意気、「できる」という確信をもって、達成に向けて着実に取り組むだけです。ということで、この後の懇親会は「予祝」として大いに来る「達成」を皆でお祝いいたしましょう。思い返せば私が倫理法人会に入会した今からわずか4年数ヶ月前は、赤く熟しても渋みの抜けない渋柿のような私であったのに、倫理を学ぶことで化学反応が起こり、喜ばしいことに甘柿に変化できました。
また、いつも「不足不満の心」を持ちアルコール依存症の末期だった私が、日常のほんの小さな倫理実践を積み重ねるだけで、良い変化が大きく表れたことは、私の一番身近な家族が最もよく感じとり理解しています。
そういう素晴らしい力が倫理法人会にはあります。倫理法人会の活動を楽しみながら自分が変わる、自分を変えていくという経験をありがたく享受しております。
この1年間も、また皆様と楽しみながら活動に励み、そして奈良県倫理法人会役員一同、全力で皆様を応援し、支えて参りますので、令和6年度も何卒よろしくお願いいたします。