2023年7月 県会長あいさつ
鮮やかな紫陽花が競うように空に映える季節。皆様、お変わりなくお過ごしのことと存じます。紫陽花は世界中で品種改良され、次々新しい品種が生まれており、2000種類もの品種があるそうです。皆様もそれぞれ好みがあるでしょう。私は特に濃い色をしている紫陽花に目を引かれます。
さて、奈良県倫理法人会においては今年度の目標達成の設定日は6月19日でした。喜ばしいことに皆様のお力のお陰で見事に達成することができました。
私は常に「目に見えない世界である『心』の中にある原因が、目に見えるところ(会社経営、人間関係、金銭問題、性格の問題など)の結果を作り出している」と伝えています。加えて、「『心』中の設計図をしっかりと作ることが大切である」とも話しています。先月の各地での4回の講話においても、ずっと言い続けています。皆様の現実はすべて各々の内面のプリントアウトにしか過ぎないのです。
そして倫理法人会はその「『心』の設計図を上手く作成するための勉強会」であります。例えば人は不足不満の心を持っているから、問題が起こります。14条に「夜が明けたから日が出るのではない。日が出たから夜が明ける」とあります。「日が出る」ということは、「心が変わる」ということです。全て、心が先に変わっていかなければ状況は好転しません。目覚めて心が変わってこそ、なのです。全ては不足不満の心を先に変えていかなければならないのです。皆様が倫理の実践を通じて自分の弱さ、愚かさの根本原因に触れ、意識的に不足不満の心を取り除いていれば、心が変わり、そして現実も変わります。
また、何事も「やってから、わかる」のが真理です。倫理法人会憲章の冒頭に書かれている、「実行によって直ちに正しさが証明できる」という文言に加え、活動指針のひとつ目に書かれている「倫理の学習と実践の場を提供し」という指針があります。現代人の多くは「分かってから、やる」という人が非常に多いですが、まず、やってみてください。暗闇の中で一歩進み出すようなものだと思うかもしれませんが、勇気を持ってまず体感してください。昨年還暦を迎えた60年の私の人生を振り返れば、大切なことのほとんどが「やってから、わかる」ことの連続でした。恐ろしい時もありましたが周囲に支えられ踏み出してよかったです。皆様にも倫理の仲間がいる、独りではありません。まず、やってみようではありませんか。
このことに関して、最も大切なことをお話しします。「心」にある原因は自分の責任ですが、心の設計図を正しく描き、結果的に目に見える現実が好転した暁には「誰かのおかげである」という感謝の気持ちが大切です。自分ひとりの力で成し遂げたというのは傲慢です。必ず自分が見えるところ、見えないところで人様に支えられての結果なのです。この感謝の気持を持ち続け、常に謙虚に生きていくことが大切です。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と言うように、稲の実が熟すほど穂が垂れ下がるように、人間も学問や徳行が深まるにつれその人柄や行為がかえって謙虚になります。謙虚な人は自分のことを無理やりアピールしたりでしゃばったりはしません。かといって自己卑下するわけでもなく、自分を認めるポジティブさを持っています。つまり、謙虚な人は、自己肯定感が高く、相手のことを配慮する気持ちや慎ましさも持ち合わせています。反対に驕る人は自己評価が過大になり傲慢になります。謙虚な振る舞いや態度は、人間として大切な資質です。しかし、人は成功すれば、謙虚さを忘れ、傲慢になりがちです。私は倫理を学ぶ前はまさに「俺様主義」でした。プライドが高く、自分中心、人を見下し、男尊女卑。挙げたらキリがない程でした。過去の自分に、「謙虚にして驕らず」という教訓を教えてやりたいくらいです。
さて、期末は8月31日。そして9月1日から新しい年度がはじまりますが、既に次年度に対して動きを始めています。期末に向けては最後の後片付けや今年度の反省を徹底し、できたこと、できなかったことを整理して、原因究明し、次年度に落とし込みをすることが大切です。
そして次年度の目標設定についてですが、今後どんな方針で行くのか、何から重点的に取り組んでいくのかをはじめ、様々なことを考え準備する時期であります。物事を成し遂げるためには、この時期の準備段階が最も大切です。「段取り八分」とは仕事の事前準備の大切さを表す格言の通りです。
また何処の会社でも期末の頃は人事などで社内が多忙な時期でもあります。それでも、間髪入れずに次のことにも取り掛かっていきましょう。倫理法人会の組織内では会社経営と同じようなことをやり続けています。そして、この活動は会員の皆様の自主性に基づいて行われています。就職し、役職が人を成長させるように、倫理法人会においても、まずは会員になって体験し、そしてお役を受けていただき、自社経営に倫理実践を落とし込んでいただければ自社の経営も伸びることでしょう。
まずは、やってみることが大切です。ぜひ一度モーニングセミナーをたとえ10分でも覗きに来てみてください。