2022年11月 県会長挨拶

11月を迎え、秋晴れの好天気とともに山の紅葉が見ごろを迎えております。
会員皆様の事業、倫理に対する思いも情熱の秋色に染まっていることでしょう。
さて、早速ですが皆様に問いたいことがあります。
「量と質を比較したとき、より重要なのはどちらか?」ということです。
この二項対立の問いに多くの方は「量」だと答えます。それはなぜでしょうか。
「量は可視的であり、質は不可視的であるから」だと私は考えます。
質を追求することは数値として目に見えにくいので、継続することは非常に忍耐のいる困難なことです。しかし「顧客や製品をたくさん作ってたくさん儲ける」という、量に関しては結果が目に見えてすぐに出ます。ですから、ある意味、安易、安直であるとも言えます。
この人口減少時代の日本で今、私たちが本当にすべきことは、量を追うことではなく、質を高めることだと私は常々考えています。この場合、自己完結型の完璧を目指すことと勘違いされがちですが、実際はニーズに沿った高い質を目指すことが肝要です。
では、質の向上を目指すためには何を行なえばよいでしょうか。予想される一番多いであろう答えは「社員のレベルアップ」です。しかし、よく考えてみてください。それは極めて他力本願、他人任せであります。
「質は何によって高まるのか。」
私の答えは、「事前準備をきちんと行うこと」に尽きます。経験則からいって、事前準備にまさる質の向上はないと考えております。
種明かしをしてしまえば、質か量、どちらかを選べばどちらかを失うのではありません。質は量によって担保されます。
では、この場合の量とは何か。それは事前準備の反復練習です。事前準備をコツコツやり続ける事が質を高めるための唯一の方法です。今日から試してみてください。1回目より2回目、2回目より3回目と、事前準備を重ねるごとに事業の質は高くなることでしょう。
さて、次にお話したいことは、「結果よりもプロセスを大事」にしてほしいということです。
プロセスを無視し、結果だけしか見ないのは、ある意味成り行き任せの運だのみであります。
更に言えば、結果主義は、次に何も残すことはできません。また、過度な結果主義は働く人たちを疲弊させるとも言われています。
ですから、皆様方にはぜひとも「プロセスの標準化」に取り組んでいただきたいのです。プロセスの標準化とは、作業と品質を一定化する取り組みで、いつでも誰でも効率よく作業ができるよう整備することです。すべての業務プロセスを俯瞰し把握して流れを作ってください。それがないことには、結果に対してフィードバックしようにも何が良かったか、どこを改善すべきか検討することができません。今後、MS会場のチラシ等の配布も標準化が必要だと考えておりますのでそこで「プロセスの標準化」を体感していただきたいと思います。
さらに、「結果よりもプロセスを重視すること」に加えて、「結果(数字至上主義)よりもストーリーを重視すること」も大切にしていただきたいと考えています。理由は、営業とはストーリー化することによりその内実が可視化されるものだからです。営業において、一般的には「数値目標」、「達成に向けた計画」、「最悪のケース」の3点がどんな営業を行うときにも必ず考えておくべきストーリーであると言われています。1点目の「数値目標」のストーリーを倫理に当てはめて見てみましょう。
「役員の出席率上昇」→「会員の出席率上昇」→「ゲスト数増加」→「入会者数増加」
と、このように考えられます。「数値目標」は、理想を追いかけすぎてしまうと現実とかけ離れ、次の「達成に向けた計画」のストーリー化が困難になるので注意が必要です。
また、もっと細かく言いますと、上の例において最終目標である「入会者数増加」のストーリーは、
「興味を持ってもらう」→「試しに来てもらう」→「入会を『決断』してもらう」
となります。このようにストーリー化することでよりひとつひとつの項目に対して具体的な戦略が立てられると思いませんか。
最後に、私が一番強くお願いしたいことをお話しします。それは、隠れた功労者に注目してほしいということです。データとして、「チーム運営上スタープレーヤーは不要である」ということが既に分かっています。目立つ者、脚光を浴びている者が人々の心に影響力を持つとは限らないのです。それよりも、目立たず、注目もされないけれど静かに物事に貢献している人を見つけ、その影響力を評価していただきたいのです。そういう人は、皆の本音を引き出したり、まだ見ぬ競合に着目したりと極めて重要なことを行なってくれています。
まとめますと、
①事前準備を徹底して量より質の向上をめざすこと、
➁プロセスの標準化を目指し結果よりプロセスを大事にしていくこと、
③目標までの道程をストーリー化し、数字単体の結果よりもそのストーリーを重視すること、
④見えない活躍をしてくれている人にスポットを当てること。
この4点を軸に11月度も様々な挑戦をしていただきたいと望んでいます。各項目について詳しく知りたい方はいつでもご連絡ください。
夜寒の折、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。